臭い防止のためにも汗対策は必須
高価なスーツやワイシャツを着る必要はありませんが、身だしなみと清潔さを保つことはビジネスパーソンにとって最低限のマナーといえます。特に40代を過ぎると加齢臭が気になるという方もいいらっしゃるでしょう。
スメルハラスメント(スメハラ)という言葉をご存じでしょうか。ここ数年で急激に認知度が高くなってきた言葉です。あるマーケティング会社が全国規模で無作為抽出した男女500人をサンプルにして行った調査によると、「知っている」と「聞いたことはあるが詳しくは知らない」を合わせるとこの言葉を7割が認知していて、5割が「実際にスメハラを受けたことがある」と回答しています。
「スメルハラスメント」と発せられる臭いによって周囲の人に不快感を与えること。日本人は臭いに敏感だといいますが、この調査結果をみるとそれが真実だということがわかります。
特に臭いが気になるのはやはり夏場。エアコンが効いているオフィスで仕事時間の大半を過ごすという事務職を除けば、外回りなどで暑い屋外を移動することがある仕事に就いている方は特に臭いを意識している方が大半のはず。
最近はクールビスが浸透してきています。このため夏場はスーツを着ずにシャツだけで過ごすという方も増えてきました。以前に比べて過ごしやすくなったとはいえ、やはり夏場は汗が気になる季節。
汗で気になるのは脇下をはじめとした汗染みでしょう。対策としてはこまめに汗をぬぐう、制汗スプレーを利用する、汗の染みが目立ちにくい淡い色のシャツをチョイスするなどです。そして、忘れてはならないのがインナー。着用することで汗を吸収してくれるのでシャツの汗染みができにくくなります。汗をかいた後に放置したことでできる黄ばみ防止にもインナーは欠かせません。
最近では抗菌・防臭・吸水速乾性を備えた機能性シャツも開発されていますから、そのようなシャツを利用するというのも1つの選択肢でしょう。
シャツの洗濯には酸素系漂白剤がお勧め
とはいえ、こまめに洗濯しないとシャツはどうしても臭うようになります。原因としてあげられるのは、まず新陳代謝によって絶えず剥がれ落ちる皮膚に含まれる皮脂。そしてもう1つが汗に含まれる老廃物がシャツに染み込むことです。古く剥がれ落ちシャツに染みついた皮脂や老廃物を含んだ汗がシャツに吸収されると、シャツに寄生した菌がそれらを餌にして繁殖します。そして繁殖した菌が不快な臭いの原因となるのです。
このため高温で汗をかきやすく菌が増殖しやすい夏場は、シャツをこまめに洗濯しないとたとえ高価なものを着ていても周囲に不快な思いをさせることになりかねません。クリーニングに出すのも1つの方法ですが、それまでに皮脂や汗を吸収したシャツを放置しておくことは黄ばみの原因になります。どうにかスケジュールを調整して、シャツを脱いだらすぐに洗濯するのがベターといえるでしょう。
といってもただ漫然と洗濯するのではなく、正しい方法できちんと処理しましょう。最初に知っておいていただきたいのはどういう洗剤を使うか。殺菌力が非常に高いのが塩素系漂白剤です。しかしその強力さゆえに色柄物やシルク、ウールが布地に含まれるシャツですと、色落ちしたり傷んでしまう危険性があります。
そこでお勧めなのが黒ずみや黄ばみ除去にも効果がある酸素系漂白剤。シャツを入れた洗面器に40~50℃のお湯を張ります。熱いお湯につけるのは高温による殺菌作用を利用するため。ただしくれぐれも火傷にはお気を付けください。適量の酸素系漂白剤を入れてシャツを浸して30~60分ほど浸け置きしてください。その後はお湯ごと洗濯機の洗濯槽へ入れて洗うだけ。
ただし、洗えばお終いというわけではありません。きちんとか乾燥させないとせっかく洗濯しても菌がシャツについて増殖してしまうのでご注意を。理想的には直射日光の下での自然乾燥ですが、洗濯する時間を帰宅後にしか取れないという方の場合ならば、エアコンの効いた部屋で乾かすようにしてください。除湿されているのでよく乾きます。仕上げにアイロンをかけるのもお勧めです。しわを伸ばすことができますし、アイロンの高温で菌を死滅させられるかです。
最初に書いたように身だしなみはビジネスパーソンにとって最低限の常識。いい仕事をしていても身だしなみがだらしなく、ましてや不快な臭いがするようでは周囲から信用を勝ち取ることはできません。忙しくてもシャツはこまめに洗濯してください。